カラマーゾフの兄弟(12)

感想を書きはじめ光文社の5冊のうちの中盤、3部の第9編となりました。ゆっくりの読書で、ここを読んで下さる方には興味がそがれるかもしれませんが、私にとってはちょうどいい速さのようで、この調子なら読了できそうです。

カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫)

カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫)

さて、ミーチャがグルーシェニカを追って馬車で出かける所までを前に書きました。(これは、第8編)
グルーシェニカは昔の恋人と再会し、ミーチャにとってはこれですべては終ってしまった感があります。加えて、予期しなかったことですが、グリゴーリーカラマーゾフ家の召使)を殺してしまったかもしれない。絶望してしまい、生きていて何になるとの思いで、最後グルーシェニカに会い大宴会を催し、この世との別れをしようと決意しています。
話は、スピード感をもって語られます。
ミーチャが思っていた筋とは物語りは他の道へと動き、グルーシェニカは昔の恋人に落胆したり、グリゴーリーは生きていた、となりますが、
なんと、ミーチャは父殺しの疑いで捕まってしまいます。
第9編は、「予審」という題が付いていて、周りの状況から、ミーチェは父フョードルを殺したのではないかとの疑惑が多くの人の頭に満ちています。
不利な証言が多い中で、注目する事柄があります。
ミーチャは、あれほど金策に走り回っていたのですが、いよいよ恥辱(泥棒になってしまうこと、殺人犯になってしまうこと)から逃れられないと思った時、今まで使わなかった1500ルーブルに手をつける。という事柄です。


カテリーナから預かっていた3千ルーブルのうちの1500ルーブルです。半分だけ使いまくり、半分は肌身離さず使わずに持っていたのです。
全部使えば泥棒だけど、半分なら卑怯者・・・ということで、その違いはミーチャにとっては、大きな差である。(ミーチャはそう考えているのです。)   


みんなにはなかなか理解してもらえない、このミーチャの“恥辱”の気持ちが悲劇へと引き込まれる原因にもなっているようでした。


次回は第4部に入ります。フョードル殺人犯として逮捕されたミーチャのまわりでさまざまな人々が動き出す様子が描かれるようです。
まとまりませんが、きょうはこのあたりで。