「悪霊」1

 読んだところ・・・第一部 第一章 序に代えて
                 ステパン・ヴェルホーヴェンスキー氏外伝
              第二章 ハリー王子。縁談
 
 ここまで読んで印象深い登場人物をあげると、ワルワーラ夫人とステパン氏、そしてワルワーラ夫人の一人息子スタヴローギン氏の三人です。
ステパン氏は、ワルワーラ夫人が息子スタヴローギンのために教育係として招いた人です。
 人間関係を知るうえで、こちらの二つが目を引きました。
(ワルワーラ夫人とステパン氏)


世の中には奇妙な友情がある。友達二人、おたがい相手を取って食ってもあきたりぬといった仲で、生涯そんなふうに暮らしながら、そのくせ別れることができない。いや、別れるどころの段ではなく、かりにそんな事態になりどもしたら、まずは、ひょんな気まぐれから絶交に踏みきった当人のほうが病にとりつかれ、果ては悶死もしかねない騒ぎなのだ。(P.20)
 また、(教育係のステパン氏と一人息子のスタヴローギン)では、

 ・・・この子は女親の手ひとつで大きくなった。公平に言って、ステパン氏は、教え子を自分になつかせることにかけてはみごとな腕前を発揮した。その秘訣は、要するに、彼自身が子供だったことである。・・・(中略)・・・・
・・やっと物心ついたばかりのいたいけな少年を、なんの躊躇もなく、さっそく自分の親友に仕立てあげた。(P.70)

 だが、いずれにしても、この幼い教え子と教師が、遅きに失したとはいえ、ともかく引きはなされる結果になったのは、よいことであった。(P.71)
 どんなストーリーが展開するのかわかりませんが、ドストエフスキーの著作、あまり覗きたく思わないで過ごしている“人間の心”の闇の部分まで、がっしりと向き合わせられそうな感じです。
 次は、第三章、四章にします。


・・・・*・・・・*