トム・ジョウンズ(3)

トム・ジョウンズ〈1〉 (岩波文庫)
 第二巻を読みました。話は、ブライフィル大尉とブリジェット・オールワージ嬢の結婚後の生活に中心が置かれています。
前回、この大尉が捨て子トムに対して義理の兄オールワージ氏のかわいがりようをうれしく思っていないのはなぜだろうと、疑問を残して終わっていましたが、今日読んで予想するには、自分の持ち分の財産が減ることを懸念してのことだったのだろうと思いました。
 しかし、大尉の運命もはかなく、この巻で止まってしまいます。なんとも・・・・。

 目にとまった「友情」に関した箇所を抜き出して見ました。


 真に賢い善良な人は、人も事物もありのままに受け入れて満足し、その短所に文句も言わねばそれを矯正しようともしないのである。・・・(中略)・・してみれば我々はこの種の宥恕(ゆうじょ)を互いにやりとりしているのである。これこそ友情の発露、それも非常に楽しい発露なのだ。・・・(中略)・・どんなによくできた人間でも精巧な陶器と同じことで疵の一つぐらいはあるかもしれぬ。この疵は人間の場合も陶器の場合もともに直しがたいものかと余は思う。ただし疵はあっても依然図柄が最高の価値を持つこともあり得るのだ。(p.99)