一生かけて作る本棚


片岡義男さんの『ラハイナまで来た理由』を、読みました。

ラハイナまで来た理由

ラハイナまで来た理由

片岡さんの本は、はじめて読みます。三上さんのブログで、以前書いておられました。
何が気になって読もうと思いついたかと言いますと、
・・・この本の中には、一生かけて作る本棚の話・・・が書かれている、との話がありまして、どんな本棚だろうかと、思ったからです。(http://d.hatena.ne.jp/elmikamino/20061126/1164549365)

読み始めて、まず、ラハイナ、ってどこ??
そこで検索してみました。
下の地図を、参考にしてください。主人公のお父さんは日系2世の人です。
幼い頃をラハイナで過ごし、晩年も10年間をラハイナに一人で暮らしていたということです。

この本は、28篇の物語から成っています。おおまかに言うと、主人公の“僕”が、たびたび登場する美しい異母兄弟のお姉さんと、昨年亡くなった父を思い出す場面がたくさんあります。父の残した写真・本・ウクレレ・・・などから、いろいろ話が広がっていきます。


はじめから気になっていた、一生かけて作る本棚の話は、(いつもその窓から見ていた)と題する、物語に出てきました。
>廊下の途中に本棚がある。柱と柱の間がきっちり三メートルの部分があり、その部分の壁をフロアから天井までふさいで、本棚が作りつけてある。父親が自分で作った本棚だ。この本棚に、父親がかつて自分のものとして手にして、少しでも読んだり眺めたりした本や雑誌、つまり市販された印刷物が、すべておさめてある。自分の手に渡ったものは、それがなにであれ、父親は捨てたりなくしたりはしない人だった。・・・・・(略)・・・・・
いちばん上の棚の左端から一番下の棚の右端に向けて、父親の人生に経過した時間が、その通りの順番で流れているのではないか、と僕は思った。・・・・・

ふと思ったのですが、私の場合、図書館で借りるものは、手元に残しておくことが出来ないけれど、こうしてブログとかに、読後の感想を書き続けると、形は残るから、これも「一生かけて作る本棚」の1部だろうかと。

また、読みながら、私の住んでいる広島とか、山口県は、ハワイへの移民の方が多いので、身近にこの、『ラハイナまで来た理由』に登場する人たちと同じ環境の方がおられたりします。本を読むことで、日頃、考えてみないことを、想起できて、楽しい時間でした。