■
家事の合間の読書か、読書の合間の家事か、わからなくなりそうで、反省。
短い時間ですが、次の本から、ひとことだけ書き残そうと思います。
- 作者: ジャン・マリ・ギュスターヴ・ルクレジオ,Jean Marie Gustave Le Cl´ezio,管啓次郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2005/03/15
- メディア: 単行本
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (18件) を見る
きょうは、ここの所が好きだったので、他にもたくさん、良いフレーズはあるのですが、書き記しました。文章が、詩的で、読んでいてここちよい、と思います。
引用は『歌の祭り』の(P.205)
>ぼくがジビルノカクのことを語りたいと思ったのは、夜を費やして人が文字を書くというこの孤立した場所の伝統が、ぼくには美しいと思われるからだ。世界でもっとも居心地のよい場所。世界を忘れてただひとり、記号の中へと入ってゆくための影のへやのように美しい。その記号が石に刻まれたものであれ、アコーディオンのように折りたたまれた紙に描かれたものであれ、夜の沈黙の中で人がゆっくりとめくる絵のない本のびっしりと文字がつまったページに印刷されたものであれ。夜、書き、夜、読むことは、あらゆる旅のうちでもっとも驚くべき、もっとも簡単な旅だ。時間が逆むきにほどけてゆき、時間は延び、裏返され、ただときおり広場や通りを越えた遠い塔の鐘の音や、マヤの古い寺院の壁のまわりで枝やつるが立てるような、未知の木の葉を吹き抜けてはすぐさま止む風のさやぎによってのみ、句読点を打たれる。
・・(家事に戻ります。)