カラマーゾフの兄弟(11)

第3部 第8編 ミーチャ を読みました。

カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫)

カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫)

ミーチャというのは、カラマーゾフ家の長男、ドミートリーですが、8編では、ミーチャが文中の言葉を借りると「運命と闘い、自分を救いだそう」と2日間、文字通りあらゆる方面を飛びまわります。(P.112)
自分を救い出すためには、カテリーナからことづかり使ってしまった大金(三千ルーブル)をどこかから調達して戻さなくてはなりません。それでなければ、彼の心が痛むのです。グルーシェニカとの豪遊で使ってしまったお金です。そんなむちゃなことをしながらも、お金は返さなければならないとこだわります。
卑怯者になってしまう。卑怯者のままでグルーシェニカと新しい生活を始めることはできない。ミーチャはこの点にとてもこだわりがあるのです。


3千ルーブルという大金をどこで工面しようかと、ミーチャの悪戦苦闘が描かれるのですが、どこへ行っても事はうまく運びません。
目次で言うと、
 1 クジマ・サムソーノフ
 2 猟犬(リャガーヴイ)
 3 金鉱
このあたりまでです。
とうとう、お金は工面できず、今度はグルーシェニカのことが気になってきます。自分が目を離している間に、父にグルーシェニカを奪われてしまうのではないかとのあせる気持ちが、ドラマをクライマックスへと誘います。
  

第8編の半分あたりまでのお話でしたが、このあとグルーシェニカを追って馬車を走らせる場面が続きます。途中ですが、つづきは次回に。