『高慢と偏見』を読んで(3)

少し飛ばしながら最後まで読み終わりました。映画版を先に見ているせいか、話の盛り上がった所を早く読みたい気持ちがつい起きてしまいます。
それはどんなところかというと、私が今回注目しているエリザベスとダーシーの恋の行方に関してですが。


最初はダンスに誘う気持ちも起きなかったエリザベスに対し、ダーシーは恋に落ち愛の告白をします。この場面ですが、映画では美しいイギリスの風景をバックにし、二人の姿が映し出されました。そこでは、ロマンチックに話が流れるのかと思いきや打打発止のやりとりがくりひろげられ、思わずため息もの。
愛の告白だけだとよかったのでしょうが、家柄のちがい、階級が違うことへの自尊心の問題を雄弁に語るダーシーに対し、姉の恋愛をじゃました主謀者(ダーシー)であり、さらにエリザベスが好意をもつウィカムという人から聞かされていた残酷な仕打ちをしたことがある張本人であるという話(これは、偽りだとあとで知るのですが。)で、ダーシーに対し怒りと腹立ちのエリザベスの応答が続きます。
その場面、小説では場所が家の中に設定されていました。(エリザベスが一人いる所をダーシーが尋ねてきます。)


結婚の申し込みに対し、エリザベスによもや拒絶されることはあるまいと思っていたダーシーです。意に反し非難の言葉を浴びせられたダーシーは、その釈明の長い手紙を残し、エリザベスのもとを去って行きます。


エリザベスのほうは手紙を読むことで、偏見(ダーシーに対する)が取り除かれていきます。
その後、ダーシーは高慢といわれる態度を改め続け、謙遜の態度へと変化させていきます。恋の力ですね。
ダーシーの愛情がエリザベスの心に届いたポイントとして、その後たまたま鉢合わせたダーシーの邸宅で思わぬ歓待を受けた事。エリザベスの妹が起こした困った事件を無事に解決してくれたこと。姉の恋愛問題についても態度を変えて、親友と姉がうまくいくよう助力してくれたこと。


こんなひたむきさにエリザベスもいつしか愛情を持ち始めます。
ちょっと、理想的過ぎる気がしないでもありませんが、読者としてはエリザベスとダーシーが結婚できるという結末に安心する気持ちもたっぷりありました。


せっかちになって、少し飛ばして読んだ所もありますが、次は、中野好夫さんの訳で、『自負と偏見』(PRIDE AND PREJUDICE) 新潮文庫 を読んでみようと思います。

自負と偏見 (新潮文庫)

自負と偏見 (新潮文庫)


※右上の写真は、植物公園内の矢車草です。