夢をみる作家たち(4)


「夢をみる作家たち」
きょうは、ジョン・バースさんです。
今回は、何回も読み直しました。どうまとめていいのか、難しかった。


それはともかく、抜書きします。
ジョン・バースさんの、主な作品の「船乗りサムボディ最後の船旅」のことに触れているところ・・・


「この本は、ほんとうはシンドバッドについて書いてあるわけでなく、
今このときが舞台なのですが、片足を現在に突っ込み、
もう片足をシェヘラザードが語る昔の架空のイスラム世界に突っ込んで
いるような物語です。・・・・
 シェヘラザード版シンドバッドの航海記をわたしが再構成した作品では、
眠りと夢の要素が前面に押し出されています。」


フロイト以降、潜在意識睡眠中の出来事が非常に注目されるようになると、
再び人は、文学を含めた芸術における想像力にとってが重要であることを、
漠然と意識するようになりました。しかし、それは無意識の役目を、意識を
超越して評価することです。17世紀や18世紀には可能だったように、
遠慮なく夢を取り上げるというわけにはいきません。」


「実際に文章を書き、登場人物を生み出し、手探りで話の筋を紡いでいるとき、
作家は、なかば無意識、自己催眠にかかったような感じで、勘と感覚を頼りに
作業の大半を行います。作家は、いつも決まった一連の動作を経て書く準備を
整え、夢現(ゆめうつつ)のような状態に入っていくようです。」
・・・・「わたしは意識の詩人・・・」
「自分のような作家、あるいはアメリカの古典派作家のうちのだれよりも
意識を働かせ、強い自意識をもっていたヘンリー・ジェイムズのような
作家でさえ、直感や感覚に頼り、夢のパターンとでも呼んでいいような
ものに従って書くことが非常に多いという事実に、わたしは感銘を受けるのです。」


この方は、現在、メリーランド州で暮らし、ジョンズ・ホプキンズ大学で教鞭を
執っておられるそうです。


John Barth
1930年、メリーランド州ケンブリッジ生まれ。
少年時代に音楽家を目指すが、自らの才能に限界を感じて文学に転向する。
教職を務めながら作品を書く。
「フローティング・オペラ」1956年
「やぎ少年ジャイルズ」1966年
主な作品に、「船乗りサムボディ最後の船旅」
「レターズ」最新作「Coming Soon!!!]


写真:庭の花、バラが咲きました。