「夏の闇」を読んで(3)

 先日も感想を書きました開高健さんの「夏の闇」の本、すっかり机の上に定着しています。繰返し読んでいますが、ひさしぶりにするめいかのように、噛めば噛むほど深い味が出る、そんな本です。
「夏の闇」の前年に出版された「輝ける闇」では、戦争の恐怖が強く伝わってきましたが、「夏の闇」の方でも、「輝ける闇」から繋がっているような印象で、戦争の恐怖感が表された所が出てきます。2冊いっしょに読むとより内容を深く理解できる気がします。

 男女の心情についてはどちらも描かれていますが、輝ける闇で“トーガ”さん(ヴェトナムの女性)と主人公とのかかわりの描写より、「夏の闇」の方が、男女の心の機微について、じっくり書かれているように思います。
 だれもがそうなのかどうかはわかりませんが、主人公は結婚の平凡な日常の繰返しを、女性が落ちつこうとしている姿をとても恐れているのを感じます。主人公の心が深く描かれていて、考え・考え読むようです。
 ・・・時間がなくなってきましたので、きょうのところはこのあたりにて。つづきは次回に。