『サイラス・マーナー』を読んで(2)


ジョージ・エリオット作「サイラス・マーナー」の感想が書きかけになっていました。10日近くたってしまいましたが、思い出しながら書くことにします。


前にも書きましたが、この本のおおまかなあらすじはといいますと、サイラス・マーナーというひとりの織工を主人公に描かれており、彼はある時信じきっていた友に裏切られ、泥棒をしたという無実の罪を着せられてしまいます。そして婚約者をもその友に奪われてしまいます。人の世も神をも呪うことになり、ただひたすら機を織りお金を貯める事を慰みにする生活を送ります。
しかし、そのお金も盗まれてしまい空っぽになった時に、たまたま迷い込んできた幼子との出会い。母を亡くした幼子を育て始めてからの主人公の変化が、それまでのサイラスの心や生活と比べ暖かいまなざしでていねいに綴られていきます。そして、後半部分では幼子の実の親がサイラスと美しい娘へと成長したエピー(幼子の名前)の前に名乗り出てきます。結末はここでは伏せておきますね。


サイラスの不思議な身の上話ですが、舞台となる村の風景の中に浸り、中心となるサイラス、エピー、富豪の家のだんなと奥さん、また周りを取り囲む登場人物達の会話をじっくり読んでいくと、なるほど、こんな風に考えるんだ・・・とか、時代は違えど、家庭に閉じこもっている女性の心理など変わらない所もあるような気がして、興味深いです。
文中のふつうのひとびとの会話を読んでいると、タイムスリップして百数十年も前のイギリスのある村に住む登場人物の輪の中に入って話を聞いているような気持ちになります。


生活のリアルな部分の貧しさとか偏見なども描かれていますが、読んだ後にひなたぼっこをしてきたようなほんわり暖かい空気に包まれるような、そんなお話です。


まだまだ読みこなせませんが、今の感想を書きとめました。


◇右上の写真は、先日植物園にて菜の花を写しました。