カラマーゾフの兄弟(13)

やっと全巻(1〜5)読み終わりました。ブログに感想を書いていなかったら、たぶん途中から飛ばし飛ばしの読みをしていたと思うのですが、今回はじっくり読めて充実感が心の中でこだましています。

カラマーゾフの兄弟 4 (光文社古典新訳文庫)

カラマーゾフの兄弟 4 (光文社古典新訳文庫)

カラマーゾフの兄弟 5 エピローグ別巻 (5) (光文社古典新訳文庫)

カラマーゾフの兄弟 5 エピローグ別巻 (5) (光文社古典新訳文庫)


前回は、ドミートリーの逮捕によって幕を下ろしましたが、今回は第4部、さらに5巻目のエピローグの内容をたどりカラマーゾフの兄弟の感想を一応ひとくぎりしたいと思います。
第4部で特に心に残った所は、ひとつ目は次男イワンが父親の死をめぐり複雑な思いを抱き「もしかしたら自分が下男スメルジャコフをそそのかした・・・殺人の共犯ではないのか?」自分の心の中で「悪魔」と会話するところです。イワンは幻覚の病にかかってしまい、目の前のある人物と深い対話を続けます。その中の苦しみは、私達にとってなら“良心の呵責”のようなものなのでしょうか。文中ではイワンの病が治る所までは書かれていません。


もうひとつは、裁判がはじまりイッポリート検事と弁護人であるフェチュコーヴィチの弁舌の様子です。圧巻!でした。
裁判を傍聴したことはありませんが、第12編 誤審 を読んでいると、映画やドラマで見るような、白熱した裁判の場面に居合わしているような気がします。
ドミートリーが有罪であると主張し決然と罰を下す必要があるという検事に対し、弁護人の言葉は涙を誘うほどの内容でした。たとえば、
 >「陪審員の皆さん、わたしは知っています、彼の心を知っているのです、野生のまんまではありますが、気高い心の持ち主なのです。・・・省略・・」
ドミートリーにとって多くの不利な証言があるにもかかわらず、“ほんのわずかでも真実に近い証拠が何ひとつない以上、『はい、有罪です』とはっきり断言するのは、みなさんにとってもいかにもつらいことです。・・・・
上手に抜き出せませんが、興味をもたれたらこの裁判のところを読んでみて下さい。


カラマーゾフ家の主人フョードルの殺人事件をめぐる「犯人探し」が中心となる物語でミステリーの好きな方にとってもおもしろいと思いますし、たくさんの登場人物の心の内面を深く描いてあり、男女の心の動き、少年達の繊細な心理、父親とは・・・など、いろいろな方面で興味を湧き起こされました。


また時間を置いて、手にして読んで見たいと思います。