『美丘』を読んで

 財務諸表論の学習はちょっと休憩して、先日は石田衣良さんの『美丘』を読んでいました。
ひさしぶりに読む恋愛小説で、今の私の歳からするとちょっとくすぐったいような気持ちになりはしますが、二十歳前後へと若返った気分で大学生の主人公たちの会話やいろいろな出来事を追いました。
 題名でもある“美丘”という女学生と太一という青年の、ある理由から1年とすこしという短い間の限られた時間、共に歩んだ生活は、ただの恋愛小説とは少し趣が違って途中からどんどんストーリーに引き込まれるものがあります。美丘の性に対するストレートな表現の仕方は、話はどんなふうに展開するのだろうかと私にとっては、おっかなびっくり(?)の感じですが、中盤あたりから美丘の内面へと徐々に光が当てられてきて、太一青年がいつのまにか恋をしていくあたり、青春のせつなさも重なり、「こんなふうな恋もあるのだろう。」と、私はすっかり物語の中で息をしていました。
 これから読まれる方もあるでしょうから、あらすじはこれ以上書きません。
 ひさしぶりの落ち着いた読書でしたが、読書の愉しみに浸るひとときでした。
美丘 (角川文庫)
 著者 石田衣良