信頼と安心
少し前に購入した本 糸井重里さんの『学問は驚きだ』を読んでいます。
「智慧の実を食べよう」という総計7時間の講演の内容をまとめられています。
講演者は「ものすごく、進んだことを考えている人」と糸井さんが言っておられるところの4人の先生方です。
理論経済学の岩井克人さん、惑星物理学の松井孝典さん、社会心理学の山岸俊男さん、比較経済史学の川勝平太さん。
きょうは、この本を手に取るきっかけとなった山岸俊男さんのお話を読んでみました。
山岸さんは「信頼の研究」を長く続けてこられたようで、信頼について詳しく語っておられました。
文中より心に留まったところを抜き出して見ました。
「実は世間の常識と反対に、日本人よりもアメリカ人の方が他者に対する信頼の程度が高いんだ」という話をしておられ、 「えっ。」と、意外な気持ちでした。 他にも、
「信頼」というのはリスクを伴うんだということ (文中p.191) 「信頼」は、対人関係で「安心」していられることとは違うんだ(文中p.191)
関係外部の人間に対する信頼を持っていないと、その関係から出ようとしません。関係から出ないことで失うものが少ない間は、それでうまくいったわけです。 しかし、現在の日本はだんだん安心していられる関係の中にとどまっていることで失うものが大きくなっています。そうすると、そういった社会では、関係に縛られない行動を見抜く社会的知性と、それに基づく一般的信頼が、これからは必要になっていくだろうというふうに考えられます。(文中p.205)・・・・*・・・・* 講演会に参加した気分で本を読んでみるのも、新鮮な愉しみの時間になりました。