開高健さんの本
近頃の読書生活について、少し書いてみます。
積ん読もここまできたら、たいしたものかと思うほどで、あちこちから、早く読んでと、声が聞こえそうです。あれを読んだりこれを読んだり・・・まとまった感想を残すことなど、夢のように思える状況。
とはいえ、あえて、先日も書きました、開高健さんの『開口閉口』の続きを書くことにします。
- 作者: 開高健
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1979/12/27
- メディア: 文庫
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64篇の話が書かれているので、気が向いた時に、気が向いた所から読むということをしています。かばんの中に入れておくと、待ち時間などちっとも退屈しませんよ。
“民主主義何デモ暮シヨイガヨイ”(P123)先日は、これ!おもしろいと思い、話題にすることにします。
>新刊書店へでかけるのが億劫になったのは苦痛だからである。ピカピカ輝く本が目白押しにならんで口ぐちにオレが、オレがと叫びたてている。その声が声なき叫喚の大渦となって眼と耳にとびこんできそうなのだ。それがイヤなのだ。おぞましいような、あざといような、いたたまれない感触が全身に這いあがってくる。ときには店内へ1歩入った瞬間に窒息しそうになることもある。・・・・・・(略)・・・・
しかし、いまはもうつきあいきれないという気持ちのほうがさきにとまわって待ちかまえるようなので、私はしがない古本屋へ入っていく。
>あるとき、明治の頃に出版された、駄洒落づくしの英和辞書があった。・・・・〈略)・・・いつとなくどこかへ消えてしまって、その後も思いだすたびに残念な気持ちになるのだが、この本の著者はなかなかタダのネズミではなかった。英語をかたっぱしから語呂あわせ川柳に仕立てているのである。
というわけで、おわかりでしょうか。
(民主主義何デモ暮シヨイガヨイ)
現代は情報があまりにたくさんあって、影響を受けやすい私も、開高さんの言われることに、共感を覚えます。また、学生時代によく行った古本屋のことなども思い出し、郷愁に浸るひと時を持ちました。
掘り出し物の駄洒落づくしの英和辞書とか、読みながら微笑しておられる開高さんが、目に浮かびます。
選ばれた言葉で埋まった文章に触れる時間は、同じ時間が充実して感じられます。
他の文章も、ユーモアがあって、思わず微笑がこぼれるお話がたくさんありますよ。
紹介は、きょうは、このあたりで。