『ローマ人の物語』を読んで(7)

 勝者の混迷 第二章 マリウスとスッラの時代
 『ローマ人の物語』を読む楽しみの中に、ひとつは、カバーに使われているその当時ローマで使われていたコインを眺めたり、コインにまつわる話を読むことと、2つ目は、ハードカバーのほうでもローマ人の顔の彫像を見ることができ、話の中の主人公はどんな顔をした人だったのだろうかなど、思いめぐらしながら読むことがあります。
 歴史に興味を持つきっかけとして、こうしてコインを集め並べていく、なぜ硬貨にこの図柄が使われたのか、この人物が使われたのかと考える・・・、これまで歴史の話を夢中になって読むことはたまにしかなかったのですが、近頃は時間ができると、「そうだ、ローマ人の物語を読もう」と、本を手にしていることが多くなりました。
 さて、きょうも、印象深い箇所を抜き書きして置くことにします。

 人間とは、食べていけなくなるや必ず、食べていけそうに思える地に移動するものである。これは、古今東西変わらない現象である。この種の民族移動を、古代では蛮族の侵入と呼び、現代ならば難民の発生という。・・・・・(中略)・・・
 ケルト人(ガリア人)に首都ローマを一時にしろ占領されるという苦い経験をもつローマ人は、蛮族の侵入を、まず武力で排除することを考え実行した。しかし、余裕がある時代―先々のことを考えて対策を立てる余裕をもてた時代―は、侵入を待ち受けるのではなく、自分から蛮族の住む地に出向き、彼らを征服するやり方をとった。征服した後で、ローマ式の、つまり街道網を整備し植民都市を建設したりしての「インフラ整備」を行うことでのローマ化(ローマ人の考えでは文明化)を進め、蛮族が自分たちの地でも食べていけるようにしたのである。(P.105)

 
 自分の国に他の民族が侵入したり、反対にまわりの国を征服して領土をどんどん広げていくこと、現代では日常に起こることはありませんが、経済の世界ではこれと同じような事が起こっているのかもしれないのかと、思ってみたり、歴史を知ることが、今の世の中で生きていく上でも参考になることがありそうだと、そんな気もしながら読んでいます。(何がどうかは、今のところよくわかりませんが☆)

ローマ人の物語 (3) 勝者の混迷

ローマ人の物語 (3) 勝者の混迷